スーベレーンと南青山のモデルたち
いつも欲しい物が頭に浮かぶのは突然。スニーカーだったり本だったり。
ちょうどその頃、趣味で数学をやっていたのをいまになって思い出す。たくさんの数式を書いては消して、書いては消して。あまりに消しかすが多くなってしまうので、いつしかボールペンで書くようにしていて、近所の文房具屋さんには簡易万年筆のプレピーがあって、それが万年筆を知った最初でした。そもそも使い捨てのボールペンは環境に良くないなんて考えていて、そうこうプラスに考えていくうちに、たまたま休学でした金曜日に表参道へ。骨董通りを曲がってすぐに着くはずでした・・・。
初夏の南青山
千代田線は表参道駅。永い眠りは階段を上るその延長線上にある長いビルたちに起こされて、外はもう初夏のようでした。コントラストの強い服を着たキャリアウーマン、キラキラした人たちが私の横を通り過ぎる。ブティックの一つ一つが手の込んだショーウィンドウをかねていて、マセラティがよく通る骨董通りの小道を曲がれば、書斎館はすぐあるはずでした。
南青山のモデルたち
この街にはモデルのような外国人女性がたくさん歩いていました。足の長さを強調させるかのようなレギンスがきゅっと足を長くさせる。まるでつま先が浮いているかのようなハイヒール。180cmくらいはある女性たちばかりで、南青山はこういう空間なんだと、もう私はわけがわからなくなってしまいました。
骨董通りを何本もクロスする道はたいてい曲がったはずなのに、書斎館は見えませんでした。2度ほど原点である表参道駅に戻っては迷子になるばかり。飛び込んで来るショーウィンドウたち、そしてたくさんのモデルたち、爆音を鳴らすスポーツカー。もう来た道からはだいぶ離れてしまったかもしれない。待っていたのは公園でした。
私はもう疲れてしまっていた。
まだ来てから30分と意外と時間は経っていなかった。この小さな世界をわざわざ迷子になったんだろう・・・。
公園にはうなだれた外国人の女性がいた。変な世界だろう。東京だって滅多に来ないのに、どうしてモデルクラスの女性が何人もいるんだろう、そしてこの公園にも。
公園を後にする時、忘れ物をしたかもしれないと振り向くと何かにぶつかった。見上げてみるとさきほどの女性でした。
書斎館をついに発見。ペリカンのスーベレーンM400を購入。
結局書斎館を見つけることが出来て、最初から決めていたペリカンのスーベレーンM400を購入。
自分にとっては高すぎる買い物だったと思うが、きっといつまでも私の傍にいてくれるはず。
エウロピのモデルは南青山のモデルさん
あの日のようにたくさんのモデルさんをあの街で見る日は無い。だけど私は南青山という街が好き。あの迷子になるようなブティックたち、たくさんの外国人たち、たくさんのマセラティ。そしてまたいつか、彼女たちに会えたらいい。
そしてエウロピは今日も美しい。いつまでもずっと。